中国製漢方ダイエット商品の問題点

現在、中国製のダイエット商品による健康被害が大きな問題となっています。その中で「漢方の本場中国製なので安全だと思って服用を続けた」という被害者の声が報道されています。すでにこのサイトの「漢方って何だろう」の「(5)漢方って安全」で解説いたしましたように、「漢方は健康食品でなく薬である」が「西洋薬に比較すればかなり安全」という、漢方を盲信もせず否定もしない正しい認識が重要です。

実際はこれから述べますようにその商品の漢方成分でなく、不当に追加された他の化学薬品が今回の被害を生んだ可能性は高いのですが、この事件の反動で「中国の薬は危険」ということから「漢方薬も危険」という風説も広まりかねないため、このページをご覧になった皆様方からこれらの反動的な漢方への誤解を払拭していただきたいと存じます。

参考までに、肥満についての医学的考察を交えて、今回の事件の原因を推察したいと思います。
まず第一に、肥満に対する漢方薬はありません。ダイエット中に漢方薬を取り入れて、体のバランスを保つというのが漢方医学者の意見です。肥満に伴う高脂血症や脂肪肝の予防と改善や、肥満に伴う疲労感・倦怠感の改善に漢方薬が用いられることはしばしばありますが、肥満そのものを解消しないと考えていただいた方がよいと思います。

また、現代医学においても飲むだけで、何の障害や副作用もなく通常の肥満を治療する薬はありません。過去において甲状腺ホルモンを減量のために用いることがありましたが、それにより本質的に改善される病的な肥満(甲状腺機能低下による肥満)は肥満症の1から2%に過ぎません。ただし甲状腺ホルモンは体内の水分を減少させる作用があり、若干の体重減少を起こすのでこれが万人向けの減量薬と誤解されたのですが、継続的に投与してもそれ以上の減量効果はなく、むしろ心臓への負荷や骨粗しょう症などの副作用が問題になってくるので、現在は甲状腺ホルモンは通常の肥満には用いません。
実際、今回問題となっている商品のいくつかは、昨年「医薬品である甲状腺末を含む健康食品」として個人輸入について注意が喚起されています。ここからはまったくの憶測ですが、今回の事件は甲状腺末が問題視されたのでその代わりに別の薬剤を用いたために起きたという可能性があります。すでに、現在3つの商品から薬事法で使用が規制されている食欲抑制剤に由来する物質が検出されています。

「肥満は薬で治らない」が東西医学での常識であるにもかかわらず、巷にはダイエット食品、薬品、さらにはそれらの利用法や体験談満載のダイエット本が氾濫しています。中には医学的にそれなりに裏付けのある食品や方法もありますが、結局は何らかの食事制限または運動を必要とするものです。繰り返しになりますが、「ダイエットに王道なし」が現在の定説です。このページをご覧になっていて肥満を気にされている方もいらっしゃるかと思いますが、どうぞこの言葉を肝に銘じて、無理なダイエットは避けていただきたいと存じます。

 

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